自分から行動する子供を育てる仕組みづくり ~目標達成用紙~
愛情・言葉かけ

夢や目標は口にするのに動かない子供たち

このブログを見に来ている読者は、「プロサッカー選手になりたい」とか「将来はオリンピックで金メダルを取りたい」などと口にするわが子を見て、「それならマンガやゲームはほどほどに、もう少しがんばらないといけないんじゃないの?」なんて呆れ顔で言った経験があるのではないでしょうか。

しかし、目標に向かって地道に行動していくのは大人でもなかなか難しいものです。また、大きすぎる目標は、より具体的な細かい目標に落とし込んでいかないと、実際に何をやればいいのかわからなくなってしまいます。

大人でも、なかなか行動できずにいる時に恋人や家族から「あなたって口ばかりで行動しないね」なんて言われたら腹が立ちますよね。子供たちも同じで、行動しないことを指摘しても行動にはつながりません。ではどのように行動を促していけば良いのでしょうか。

大谷選手を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」とは?

2012年7月中旬に行われた高校野球岩手県大会で、当時花巻東高校3年生だった大谷翔平(日本ハム)選手がプロ野球選手でもほとんど達成できない時速160㎞をマークして全国にその名を知らしめました。身長193cm、体重90kgという恵まれた体格もその一因かもしれませんが、それだけで時速160㎞を投げられるわけではありません。大谷選手は「時速160㎞を投げる」という具体的な目標を定め、行動を積み重ねることで達成したというのです。

大谷選手を指導した佐々木監督は次のように述べています。

「僕は160km投げたことがないので、その投げ方を大谷に教えられません。でも指導者として教えなければならないのは、打ち方とか投げ方ではなく、考え方。身体能力を失うことはあっても、考え方はほぼ失うことがありませんからね」

では佐々木監督の教えた「考え方」とはどのようなものだったのでしょうか。

それは「夢と目標と決意を区別」して、目標にフォーカスするというものでした。

「私にはプロ野球選手という目標がありましたが、夢と目標と決意の区別がつかず、夢をかなえる秘訣が分かりませんでした。例えば『太ってきたので、痩せたい』というのは、目標ではなく決意。『今日はこれしかカロリーを摂らない』が目標。そうやって追っていくと、必ず結果が出ます。これって足し算や掛け算より、本来であれば小学生のときに教わらないといけないテクニックだと思います」

ここで設定される目標は「行動を促すものである」ことが重要です。佐々木監督はこれを「目標達成用紙」を用いて選手自らが設定することを促しました。

出典元から一部加工修正

夢を具体的な目標に分解する

目標達成用紙のポイントは、夢を具体的な8つの大目標に分解し、それらを更に8つの小目標に落とし込んでいくことです。
まず中心のマスに自分の「夢」を記述します。大谷選手は「8球団からドラフト一位指名される」という目標を書き込んでいました。そしてその周囲の8マスに、「夢を叶えるために必要な要素(大目標)」を記入していきます。

次に、それらの8要素を太枠で囲まれた3×3のマスの中心に転記します。そして同じように、その大目標を達成するために必要な要素(小目標)を周囲の8マスに記入していきます。

結果、一つの夢を達成するための8つの大目標、そしてそれらを達成するための8×8=64個の具体的な小目標が設定されます。あとは日々の生活やトレーニングの中で実践していくだけです。作り方はとてもシンプルですね。

実はビジネスの世界でも広く利用されている?!

この目標達成用紙、ビジネスの世界で広く利用されている「マンダラチャート」を佐々木監督がアレンジしたものと思われます。

マンダラチャートは、1979年に株式会社クローバ経営研究所 代表松村寧雄氏により”人生とビジネスを豊かにする”ために開発された「中心核を持つ 3x3の9マス」のマトリクスのことです。マンダラ手帳という独自の手帳も販売されているので、利用されている読者もいらっしゃるかもしれませんね。

株式会社クローバ経営研究所 http://www.myhou.co.jp/

年末年始や年度初めなどの節目の時期にマンダラチャートを利用して夢と目標の具体化を行う方は多いと思います。小中学生のスポーツも一年単位で進学と共に選手が入れ替わり、子供たちも目標を新たにする時期がありますので、親子で一緒に目標達成用紙づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

本記事は以下のサイトから一部引用しています。
記者クラブの外から見るニッポン野球 大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」

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